高齢者に大人気の特別養護老人ホームとは?
こんにちは、K2 Assurance 保険アドバイザーの松本です。
今回は、高齢者に大人気の特別養護老人ホームについてお伝えします。
1.特別養護老人ホームとは?
特別養護老人ホーム(特養)は、介護老人福祉施設とも呼ばれ、公的な介護保険施設の1つです。
在宅での生活が困難になった要介護3以上(特例の要介護1・2)の高齢者が入居でき、原則として終身に渡って介護が受けられる施設です。民間運営の有料老人ホームなどと比べると費用が安いです。
特養は「従来型」と「ユニット型」の2つのタイプがあり、古くからある従来型は4人部屋が多く施設全体で介護を行います。
2002年からはユニット型が制度化され、すべて個室で10人程度を1つのユニットとして少人数の介護を行います。
これは個人のプライバシーを尊重し、小人数の単位で家庭的な雰囲気の中で個別ケアを充実させることを目指したものです。
入居待機者が多いことで有名でしたが、入居要件が2015年から厳しくなり、待機者数は減少しています。
待機期間は地域による差が大きくなっており、短いところは申込みから1~2ヶ月、長いところは数年かかる地域もあります。
特徴をまとめると、
老人ホームの中では比較的安価
看取りの対応ができるので、終の棲家となる
地域によって入居までの待機時間がかかる
ということです。
2.入居条件
入居条件は、
65歳以上で要介護3以上の高齢者
40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
特例により入居が認められた要介護1,2の方
です。
また看護師の24時間配置は義務づけられていないので、施設側の看護師体制などにより24時間ケアを必要とする方や看取り希望者の受け入れができない場合があります。
特例により要介護1,2の方でも入居ができる要件は下記になります。
- 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られる
- 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さなどが頻繁に見られる
- 家族、その他による深刻な虐待が疑われる等により、心身の安全・安心の確保が困難な状態である
- 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により、家族などによる支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分である
希望者が多い場合は、申し込んだ順に入居が決まるのが原則です。
ただし、緊急性が高いと認められた方を優先的に入居させていくケースがあるので、入居までに数年~10年ほど要することもあります。
入居待機者の人数は、自治体のホームページを見るか、施設に問い合わせると教えてもらえます。
特養への入居を考えている方は、事前に近隣施設に問い合わせて待機状況を把握しておきましょう。
3.メリット、デメリット
メリット
費用が安い
入居時の一時金がなく、所得に応じて費用の減免制度がある。
24時間介護が受けられる
介護スタッフは24時間常駐し、必要に応じて介護を受けられます。
原則として一生涯入所ができる
長期入所が前提で、原則として一生涯介護を受けられます。
デメリット
入居条件が原則要介護3以上
要介護1,2でも入居できる場合もありますが、その要件は厳しいです。
入居までの時間がかかる
2015年の入居条件の改正で、待機者は減りましたが地域差が激しく、場合によっては数年かかることがあります。
医療制度の限界
24時間の看護師配置は義務付けられていないので、施設側の体制によっては夜間のたん吸引や胃ろう、褥瘡、経管栄養といった医療処置が必要な場合には、対応できず退去しなければならないこともあります。また入居時に医療依存度が高ければ入居できないこともあります。
4.入居費用は?
特別養護老人ホームでは入居後の月額費用のみです。
費用の構成と内訳の一例(要介護3 ユニット型施設)は下記になります。
- 施設介護サービス費:23,340円
- 介護サービス加算 :1,567円
- 居住費 :60,180円
- 食費 :41,760円
- 日常生活費 :1,100円
合計:137,847円
※介護サービス加算と日常生活費は人によってかわるので、あくまで一例
また上記の金額は、介護サービスの自己負担が1割だった場合の金額です。
自己負担割合の判定基準
高額介護サービス費
月々または年間の自己負担額(福祉用具購入費等一部を除く)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。支給を受けるためには、市区町村に申請することが必要です。
5.特定入居者介護サービス費(負担限度額認定)とは?
特定入居者介護サービス費(負担限度額認定)とは、所得や資産等が一定以下の方に対して、その方の負担限度額を超えた分の居住費と食費の負担額が介護保険から支給される制度です。
特養の月額費用のうち「居住費」と「食費」の負担割合は7割〜8割を占めるので、負担額は大きく変わってきます。
限度額認定を受けるには下記の条件を全て満たす必要があります。
- 本人とその同一世帯の人全てが市町村民税非課税者である。
- 本人の配偶者(世帯が別の場合も含む)が市町村民税非課税者である。
- 本人の預貯金等額合計が、単身の場合は1,000万円以下、配偶者がいる場合は2人あわせて2,000万円以下である。
住民税の非課税対象になる条件とは?
さらに負担限度額は、所得に応じて4段階(住民税課税世帯も含めて)に分かれます。
それぞれの条件と負担限度額は、
第1段階
条件
生活保護受給者、または老齢福祉年金受給者で本人および世帯全体が市民税非課税の方
居住費の負担限度額
多床室:0円
従来型個室:9,600円
ユニット型準個室:14,700円
ユニット型個室:24,600円
食費の負担限度額
9,000円
第2段階
条件
本人および世帯全体が市民税非課税で、合計所得金と課税年金収入の合計額が80万円以下の方
居住費の負担限度額
多床室:11,100円
従来型個室:12,600円
ユニット型準個室:14,700円
ユニット型個室:24,600円
食費の負担限度額
11,700円
第3段階
条件
本人および世帯全体が市民税非課税で第2段階に該当しない方、または市民税課税層における特例減額措置の適用を受けた方
居住費の負担限度額
多床室:11,100円
従来型個室:24,600円
ユニット型準個室:39,300円
ユニット型個室:39,300円
食費の負担限度額
19,500円
第4段階
条件
住民税課税世帯の方
居住費の負担限度額
多床室:25,650円
従来型個室:35,130円
ユニット型準個室:50,040円
ユニット型個室:60,180円
食費の負担限度額
41,760円
第1と第4では約3倍も負担額が変わります。ただし申請しないと限度額認定証は交付されないので、該当する方は、各市区町村に問い合わせて確認と申請をしましょう。
また世帯内の同一の医療保険の加入者の方について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、基準額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度があります。
詳しくは下記のブログを参考にしてください。
高額介護合算療養費制度とは?
6.まとめ
特別養護老人ホームについてお話しました。
有料老人ホームと違い、入居時の一時金がなく、月額費用も比較的安いので人気の施設になります。
ただし入居条件は、基本的に要介護3以上であり、地域によっては入居できるのに数年かかる場合があります。
また介護制度は数年毎に改正されており、2021年にも大きな改正があります。ご利用を考えている方は、近隣の特別養護老人ホームや各市区町村に問い合わせて最新の情報(待機状況や補助制度など)を集めておきましょう。
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